テーマ35 管理職者として持つべき実務における
部下育成上の覚悟
■管理職者として幅を広げる
管理職者は部下を育成しながら、
部下と共に仕事を成し遂げていかなければなりません。
一人で仕事をするときとは違って
自分の思い通りにならないことがたくさんあります。
管理職者となり部下を持った以上、
管理職者として持つべき覚悟があります。
日々の実務の中で、部下育成上、
管理職者が持つべき覚悟としては次の3点が上げられます。
・部下のために時間を使う。
・自分が扱いやすい部下、扱いづらい部下に関わらず部下を公平に扱う。
・担当部署内で起きる失敗は、全て自分のせい、
成功は部下のお陰という取組み姿勢を持つ。
自分の感情をコントロールする力、相手の感情を理解する力を養い、
管理職者として、企業人として、人としての幅を広げることが要求されます。
■部下のために時間を使う覚悟が必要
部下を持つと、毎日のように突発的に部下から様々な相談事を受けるなど、
予定外の時間をとられることが多くあります。
人は、自分のペースを乱されると、考えていたことが中断されたり、
今後の予定が狂ったりと、非常にストレスを感じます。
しかし、部下を持った以上、部下とのやり取りに
時間をとられることを覚悟しておかなければなりません。
特に部下の話を聴くことに時間を使うことが重要です。
部下の話は、上司としては、部下から言われなくても
分かっていることも多くあり、たくさんの仕事を抱えている中で、
部下の話を聴くのは、精神的にも大変な面があります。
しかし、上司となった以上、どんなに忙しくとも
部下のために時間を使う覚悟が必要です。
部下は、上司がきちんと話を聴いてくれると、
上司は自分のことを理解してくれている、認めてくれていると思います。
聴くという字は、「十四の心で耳を傾ける」と書きます。
部下とコミュニケーションをとるときの基本は、
まず、心をこめて部下の話を最後まで聴く覚悟が必要です。
■自分が扱いやすい部下、扱いづらい部下に関わらず
部下を公平に扱う
人間なので、部下との相性という面もありますが、
部下を持った以上そんなことは言っていられません。
あくまでも仕事を中心にすえて、相手の能力や性格、
今の部下の心の状況を把握して、伝えるべきことは伝える、
育成すべきことは、きちんと育成することが必要です。
自分と相性のよい、扱いやすい部下を自分の右腕、
左腕に据えようとしたりしますが、部下の人選をする場合は、
経営トップなど自分の上司の意見を率直に聴くことが重要です。
■担当部署内で起きる失敗は、全て自分のせい、
成功は部下のお陰という取組み姿勢を持つ
「日経BP社 ジェームズ・コリンズ氏著 ビジョナリーカンパニー2」
の中で著者は、飛躍した企業の経営者のことを第五水準と称していますが、
第五水準の経営者に共通していた特徴の一つに下記のような記述があります。
「第五水準の指導者は成功を収めたときは窓の外を見て、
成功をもたらした要因を見つけ出す。
結果が悪かったときは鏡を見て、
自分に責任があると考える。」
担当部署の長である管理職者も「担当部署内で起きる失敗は、
全て自分のせい、成功は部下のお陰という」
取り組み姿勢が重要です。
「実績が良い悪いも含めて、担当部署内で起きたことは、
その部署の責任者である自分が全面的に受け入れる」
ことが必要です。
仕事は、なかなか目標どおり、うまくいかないものですが、
それを部下などのせいにせず、責任は全て自分が負うことが必要です。
失敗を部下のせいにする上司は、部下から信頼されません。
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